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田中角栄のエピソードに感動した話

私は田中角栄さんについて、元総理大臣ということだけ知っていたが、ダウンタウンの浜田さんが大ファンということで、気になって『人間・田中角栄』という本を読んでみた。

これは想像以上に面白い本だった。

田中角栄さんは知れば知るほど好きにさせられる人である。

本書は多くの日本人の記憶に刻まれた「史上最大の宰相」の、とっておきの人情秘話を50話収録したものである。

たった50話のエピソードで、田中角栄の人間としての魅力が十二分に伝わってきた。

特に「生きたカネの渡し方」「2度届けられる花」「竹下登の涙」、「砂煙のなかの総理」「心に残る伝説の弔辞」が印象的だった。

今回は田中角栄の人柄がすぐわかる「砂煙のなかの総理」について簡単に紹介したい。

目次

「砂煙のなかの総理」

1974年の参議院選挙。

このとき福岡選挙区で出馬し初当選を飾ったのが、有田一寿である。

タレントのような知名度はない新人候補の有田にとって、頼みは組織票と応援演説である。

投票日の数日前に、ついに総理の田中角栄と橋本龍太郎・遊説部長が福岡入りした。

翌日、小倉駅の前の広場には、角栄見たさに何と8000人もの聴衆が集まった。

「みなさんッ!田中角栄ですッ!ここにいる有田君をどうか政治の世界に送り出してください!お願いしますッ!」

いつものように力強く演説した角栄。

応援の効果はやはり絶大だった。

角栄は小倉から福岡に戻るべく、すぐさまヘリポートへ舞い戻った。

有田とその秘書は、支援者の輪を抜け出して、角栄に礼を言うべく、後を追ったが、聴衆にとめられ、時間を食ってしまった。

ようやく鉄条網に囲まれたヘリポートに着いたとき、すでにヘリはエンジンをかけ、砂塵が舞い上がっている状態だった。

有田は鉄条網を手でつかみ、ヘリの爆音が響き渡る中、大声で叫んだ。

「総理!今日はありがとうございました!」

すると、有田の声に気づいた角栄が振り向いた。

ヘリに乗り込もうとしていた56歳の角栄は、上着を脱ぐと、ワイシャツ姿で砂ぼこりの中を走り始めた。

角栄は30メートルほど離れていた有田のもとに駆け寄り、鉄条網の間から自分の両手を差し出すと、有田の手をしっかりと握った。

「当選してこいよ。待ってるぞ」

それだけ言うと、角栄は再び後ろを向き、走り出した。

やがて、角栄を乗せたヘリは、次の目的地に消えていった。

ヘリが視界から消えたとき、有田は男女の秘書が、声をあげて泣いていることに気づいた。

有田自身も、涙をこらえるのが精一杯であった。

選挙では金権選挙との批判もあった。

しかし、角栄のなりふりかまわぬ行動は、金権や人身掌握術といったものを超越していた。

誰が何と言おうと、これだけのことができる政治家はいない。

それは、角栄に接したものしかわからない「真実」だった。

百千の言説よりも、たった1つの行動が、人の心を動かし、相手の信頼を得ることにつながる。

角栄の武骨な実践主義は、圧倒的な説得力を持って支援者の輪を広げることにつながった。

選挙で当選した有田は、田中派に所属した。

応援演説におけるたった一度のふるまいが、角栄のすべてを表していると、有田には信じられたからである。

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